はじめに
バレエダンサーとしてのキャリアを積む中で、一度は「海外のバレエ団で踊ってみたい」と夢見る方も多いのではないでしょうか?ヨーロッパやアメリカには長い歴史を持つバレエ団が数多く存在し、日本のダンサーたちもその中に身を置いて活躍しています。しかし、その華やかな舞台の裏には、数々の挑戦と努力、そして現実が待っています。
今回は「海外バレエ団で働くという選択肢」について、日本人ダンサーの視点からその実情を深掘りしていきます。
1. なぜ海外バレエ団を目指すのか?
◆ 表現の幅を広げたい
海外ではバレエ団ごとに作品の傾向や振付家のスタイルが異なり、日本では経験できないような現代作品やコンテンポラリー作品に触れる機会があります。
◆ 実力主義の世界に挑戦したい
年齢や経歴に左右されにくく、オーディションで結果を出せば誰にでもチャンスが与えられるという風土は、実力で勝負したいダンサーにとって魅力的です。
◆ 国際的なキャリア形成
一度海外でプロとしての実績を作ると、他国での就職やプロジェクトへの参加、さらには指導者としての道も開かれやすくなります。
2. 海外バレエ団で働くまでの道のり
ステップ①:情報収集とオーディション選定
- 各バレエ団の公式サイトやSNSを通じて、オーディション情報をキャッチ
- Dance EuropeやBallet Auditionなどの国際オーディション情報誌も活用
ステップ②:オーディション準備
- バレエ・ヴァリエーション、コンテンポラリー、フロアワークなど多様な技術が求められる
- 動画審査(Video Audition)用の素材を高品質で準備
- 履歴書(CV)と推薦状、ポートレートも忘れずに
ステップ③:ビザと契約交渉
- EU圏では「アーティストビザ」、アメリカでは「Oビザ」などを申請
- 契約内容には出演回数、保険、給料、住居補助などをしっかり確認
3. 現地での生活と仕事のリアル
言葉の壁と日常生活
英語圏でなくても、レッスンやリハーサルは英語で行われることも多いですが、日常生活や契約書は現地語が基本。言葉の壁は徐々に慣れるしかありません。
多国籍メンバーとの人間関係
国籍・文化の異なるメンバーとのチームワークが求められ、時には衝突も。柔軟なコミュニケーション能力と心の余裕が必要です。
舞台の厳しさと自己管理
- 連日連夜のリハーサルと本番
- 怪我予防のためのセルフケアと休息
- 給与や待遇の不安定さに備えるため、貯金や副業を持つ人も
4. 海外バレエ団で成功するためのヒント
- 謙虚さと積極性を持ち続ける
- 現地の文化に興味を持ち、学ぶ姿勢を忘れない
- パフォーマンス以外にも、レパートリーへの理解やリハーサル態度が評価される
また、最初は契約が短期であっても、次第に信頼を得て長期契約につながるケースも多くあります。
5. 海外バレエ団で働く日本人ダンサーの声
「最初は言葉も通じず、孤独感に押しつぶされそうでした。でも、公演を重ねるごとに仲間との距離も縮まり、”ダンスは世界共通語だ”と心から感じました。」
— イタリアのバレエ団で活躍する20代女性ダンサー
「小さなバレエ団でも、アーティストとして扱ってもらえることに感動しました。役を任される責任と喜びは、日本では得がたかった体験です。」
— ドイツ在住の男性ソリスト
おわりに:バレエ人生の新たなステージへ
海外のバレエ団で働くという選択肢は、困難を伴う分、計り知れない成長とチャンスを与えてくれます。語学、文化、生活…未知の世界に飛び込むには勇気が必要ですが、その一歩はあなたのバレエ人生をより豊かに、自由にしてくれるはずです。
もし今、「海外で踊りたい」と心のどこかで思っているなら、それはもう、すでに第一歩を踏み出している証拠。どうかその思いを大切に、行動に移してみてください。